水道光熱費の例えば電気代って利用月の翌月に支払いをしたりしますよね。5月分の電気代を6月に支払うみたいな感じです。
水道代も2ヶ月に一回支払うところだったら5月6月分を7月に支払う感じになりますよね。
引落だったりクレジットカード払いだったらもっとその期間に開きが出てきます。
通常の仕訳
通常何も考えないで仕訳をしてみると
(借)水道光熱費 1000 (貸)普通預金 1000(摘要)電気料金
のような仕訳になります。実務上はこれで問題ないでしょうけれど、実は原則的な取り扱いとは異なるのです。
経費になるタイミング
では、経費になるタイミングって何時になるのでしょうか?考え方をわけると2つに分類できます。一つずつ見てみましょう。
発生主義(原則的な処理方法)
発生主義の処理方法が一応原則的な処理方法になります。費用が発生、つまり、電気を使った段階で経費にするという考え方です。
電気代の場合は、5月分の電気代が6月に支払われるという例で考えてみましょう。
5/31に5月分の電気代がわかりました。
(借)水道光熱費 1000 (貸)未払費用 1000(摘要)電気料金
と仕訳をして5月分の経費を計上します。この時はまだお金を支払っていないので未払費用という勘定科目を利用します。
6/20に5月分の電気代を支払いました。
(借)未払費用 1000 (貸)普通預金 1000(摘要)電気料金
この仕訳は5月中に発生した経費の支払いをしました。という処理になります。
1つの支払いに対して2回仕訳処理をしないといけないのでちょっと面倒ですね。なので実務上は払った時に経費にしてしまうことが多いです。
現金主義(実務上よくある処理方法)
発生主義が原則的な方法だけれども、使ったときに仕訳をして払った時に仕訳をするのって結構手間なんですよね。原則的な方法ではないけれど簡単な方法といして使われるのが現金主義です。
この方法なら毎月水道光熱費を支払ったタイミングで経費にする処理になります。事業所のやり方にもよりますが、この方法で処理しているところは多いのではないでしょうか。
なぜ、原則と実務が違うのか
では、なぜ原則的な方法を取らないことが多いのでしょうか。これは単純で手間がかかるからです。一応感情的な話ではなくて会計原則にもあることなので私が適当に書いているわけじゃないですよ。
重要性の原則
重要性の原則によって金額が毎月大きく変動しないのであれば、簡単な処理をしてもいいということがわかります。
逆に言うと、たとえ電気代だったとしても金額が月によって大きく変動する場合は使うことができないということです。工場とかだと顕著ですよね。安定稼働が理想だとしても、季節性の忙しさがありますし、月の電気代もかなり高額ということもあるでしょう。その場合は現金主義は難しいかもしれませんね。というか正確な損益を把握するためにも現金主義は止めておいた方がいいかもしれません。
継続摘要
会計原則の一つに継続性の原則というものがあります。年度ごとに仕分けの方法を変えてはいけませんっていう原則ですね。上記重要性の原則から現金主義で経理してもいいのですが、取引ごとに今回は現金主義で経理して、その次は発生主義で経理するっていうのはよろしくないよってことです。
気を付けたい点
大量の燃料を使う、ストックする業種の場合
通常の事務所代的な水道光熱費は上記のような処理で構わないのですが、工場などで大量に燃料を使うのであれば期末に棚卸資産として計上しなくてはなりません。
原価として扱う場合は重要性の原則のからもちゃんと計上することになります。
自宅兼事務所のような個人的な出費と事業用の経費がわからない場合
自宅兼事務所の場合の電気代ってどうだと思います?もちろん仕事で使う電気もあるでしょうし、生活費で使っているものもありますよね。この場合は仕事用とプライベート用を区別して仕事用だけ経費に計上しないといけません。
プライベート分も経費にしたい気持ちはわかりますが、そこは我慢です。普通の会社員の人はプライベートな支出を会社で精算するってことは無いですものね。それと同じです。
この区分の仕方が厄介です。実際に計算方法が具体的に決められてるわけじゃありません。「合理的な基準」っていうあいまいな言葉で説明するのも良くないと思いますので、具体例を考えてみると。
床面積の比率
使用時間の比率
こういったものが考えられますね。経費に計上したときにこういう計算方法で経費にしていますと説明ができるようにしておくと、税務調査があったときにも対応できるようになりますよ。ちなみに、この按分計算も継続摘要してくださいね。
家賃に水道光熱費が含まれている場合
家賃の契約によっては水道光熱費を含めて支払いをするっていう契約もあるでしょう。まとめて家賃で経費計上してしまいがちです。でも、もしわかるのであれば、分けて計上したほうがいいです。
消費税の仕入税額控除を計算するときに、家賃(居住用)は非課税仕入(払った消費税がない)なので、ここに水道光熱費分をまとめて入れてしまうと一緒に非課税仕入になってしまいます。
水道光熱費は課税仕入(払った消費税がある)なので、細かく分類したほうが有利になります。
灯油のレシートから仕訳をするとき
灯油ってガソリンスタンドで買うことが多いですよね。こういう時は一緒にガソリンも入れたりします。ここも一緒に車両費で仕訳をするのではなく、分けて仕訳したほうがいいです。
後で数字を見直してみると何で今月ガソリン代が高いんだって疑問に思って調べると、灯油も一緒にしていたってことになります。税金計算上大きく不利になるってことはありませんが、自分の経営感覚を養うためにも分けた方がいいですね。
まとめ
水道光熱費は原価としての利用でなければ現金主義で計上して問題ないです。ただ、原価だったりすると発生主義や棚卸の考え方も入れる必要がありますから注意が必要です。
自宅兼事務所の場合は仕事用とプライベート用を按分計算する根拠をあらかじめ定めておけば大丈夫ですよ。
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