現金主義とは
現金主義会計は費用や収益の認識のタイミングを現金の収支に合わせて計算する方式のことを言います。経費になるものを買ってお金を支払ったら、そのタイミングで経費として経理します。収益のタイミングも売り上げを上げて、お金を貰ったタイミングで計上します。
つまり
入金=収益・売上
支出=費用・経費
家計簿みたいな感じですね。
これだと掛売や掛買をしている場合であってもあくまでお金(現金)が動いたときに計上しますから、正確な期間損益になるかというとそうではないということになります。
例えば、モノを売って入金は来月って場合だと、もうお金が入ってくることは確定(売上が発生している)だから本当だったら入金ではなくて売ったタイミングで売上計上する(発生主義)のが正しいんです。
現金主義だとお金の動きに合わせるので経理自体は簡単です。だから規模の小さい会社や事業所だとこのやり方でやっているところもあるでしょう。
どういった処理になるの?
お金が動いたタイミングで計上しますから仕訳自体はシンプルです。
(借)消耗品費 1000 (貸)普通預金 1000(摘要)ホームセンター
みたいな感じ。
物を買う時と支払のタイミングが一緒との時はイメージしやすいけれど、末締め翌月払いのものだったら摘要に書かないとわからなくなるかも。
6月20日に振込支払いしたと仮定すると
(借)仕入 1000 (貸)普通預金 1000(摘要)○○商事 5月分
みたいな仕訳になりますね。摘要に何月分って書いておけば、後で見返してわかりやすいかもしれません。
実務上利用するタイミング
重要性の乏しいもの
企業会計の原則には重要性の原則というものがあります。この規定によると、重要性の乏しいものは簡単な処理でやってもいいということになるんです。
金額が小さいものや毎月必ず発生していて金額が大きく変わらないもの(月々の電気代とか)だったら、わざわざ発生主義にしないで経理処理してもいいということです。
重要性の原則は重要性の乏しいものは簡単に処理していいけれど、逆に言うと重要性の高いもの(金額の大きいものや偶然あったものなど)は詳しく処理しましょうってことですから、楽していいですよっていう原則ではないですからね。
規模の小さい会社や個人事業は現金主義
ある程度規模のある会社や事業所だったら、月々の会社の状況をチェックしたいでしょうから発生主義で経理しているところが多いでしょう。ただ、月の利益とか大雑把にわかればいいっていう会社だと現金主義会計をしているとことが多いです。
特に税務署に申告する必要があるので、決算を組むときに注意が必要なくらいですね。
現金主義の注意点
現金主義で計算していると期末の売上の計上漏れが起きやすいです。毎回の経理は入金があったときに売上で処理します。ただ、売上って納品やサービスの提供が終わってから請求書を作って相手からの入金を待つってことが多いと思うんです。
こうなると期末(12月決算を想定)になると、納品は12月にしているなら本来は売上にしていないといけないんです。これを忘れてしまうと、12月分の売上計上漏れということになります。
たとえ翌期の1月に売上に計上していたとしてもダメです。あくまで事業年度に合わせて集計する必要があります。
だから多くの場合は期中現金主義(よく言いますけれど専門用語ではないかな。スラング)で処理しています。期末に洗い替えするだけですから、処理は簡単ですね。
期中現金主義で処理すると数ヶ月単位で損益が合わない試算表ができます。銀行から融資を受けるときに試算表を提出する企業さんも多いでしょう。でも期中現金主義で処理している試算表って信ぴょう性ほとんどないですからね。(期中現金主義について)
間違えるとどうなるの?
期末処理を忘れたり間違えたりするとその分の期間損益が合わなくなります。税金が増えるってことですね。税務調査が入らない限り指摘されることはほとんどないのですが、そうなる前に自分で気づけるといいですね。
まとめ
現金主義で経理するのって処理する方は簡単ですけれど、本来の売上や経費の計上のタイミングとは違うから注意が必要です。自分だけで管理して確定申告するときだけ期間損益合わせるってなら手間がかからなくていいですよ。ただ、銀行などの外部の人に提示する場合やコンサルタントに経営診断してもらいたい時に現金主義だとまともな評価ができませんから気を付けましょう。
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