スポンサーリンク

規模の小さい会社や個人事業では通常月(期末決算時期以外)は現金主義で経理して、期末決算時期にのみ発生主義を行う処理を行うところがあります。期末に洗替法によって強引に年間損益を合わせる方法です。

期中現金主義や期末発生主義っていう専門用語は存在しないはず。「期中は現金主義によって計上し・・・」から引っ張って期中現金主義って言葉が生まれたのかもしれませんね。いわゆる俗語、スラングですよ。

この期中現金主義とか期末発生主義って言葉は税理士や会計事務所の職員さん、税務署の職員が使っているイメージです。会計関係の人はあんまり使わないんじゃないかな。

そもそも期中現金主義・期末発生主義は売掛金や買掛金という勘定科目を使わずに、単純に支払いの時、入金の時に経費や売上の処理をすることです。もともと現金商売であれば問題無いです。ただ、請求書作って納品と入金が別のタイミングということであれば本当なら発生主義にするべきですね。

なぜ期中現金主義・期末発生主義があるのか?

本来は発生主義で経理する方法が正しいです。でも、小規模事業者を中心にこの方法が利用されているかというと、単純に簡単だからです。

決算書を作る理由は、自分で管理するため・外部(銀行とか)に見せるため・税金を計算するための3つです。

自分でも管理しない、銀行とかに見せる必要もないという人でも、税務署に確定申告はしないといけません。ということは税金を計算するために決算書を作る会社が結構あるということなんですよね。税金さえ合っていればあとはなんでもいいということもあるんです。

だとしたら、簡単な方法の方が楽ですよね。だから期中現金主義・期末発生主義というやり方が行われているんです。

税務だけ考える処理方法

期中現金主義・期末発生主義は税金計算の経理方法です。税金を計算するときは事業年度(個人は1年間)で集計していますよね。この期間の切れ目さえ気を付けていれば税金が変わることはありません。

期をまたがなければ入金月に売り上げにしていても税金の金額は変わりません。12月決算の場合だと、11月の売上が12月に入金されていても、1年を通してみると合計金額は同じですからね。

しかし、12月に売上があって1月に入金という場合は注意が必要です。この時だけは売掛金処理をしなければなりません。

経費面でも同じです。期末だけ買掛金勘定を使って経費(損金)を計上することができます。

スポンサーリンク

仕訳してみる

個人事業主の場合は1月~12月分が正しく計上されていればいいのです

11月
(借)普通預金 1000 (貸)売上 1000(摘要)10月分

12月
(借)普通預金 1000 (貸)売上 1000(摘要)11月分

12月決算仕訳
(借)売掛金 1000 (貸)売上 1000(摘要)12月分

という感じです。では、翌年になったらどうすればいいのでしょうか?ここで洗替という方法が使われます。
翌年11月
(借)普通預金 1000 (貸)売上 1000(摘要)10月分

翌年12月
(借)普通預金 1000 (貸)売上 1000(摘要)11月分

翌年12月決算仕訳
(借)売上 1000 (貸)売掛金 1000(摘要)前年12月分
(借)売掛金 1000 (貸)売上 1000(摘要)今年12月分

これが洗替という処理になります。もちろん金額は請求額に合わせるのですが、これをしないと売上を13か月分のせることになりますよね。計上漏れや重複計上は税金の金額が違うことになりますので注意が必要です。

別に洗替をしなくても、1月に入金されたものを売掛金の回収扱いで処理して、現金主義に戻す方法も結果的には変わりません。税金計算上の結果さえ間違っていなければそれで充分なのです。税務会計ってそういう側面があります。

まとめ

期中現金主義・期末発生主義で計算しても試算表としての意味は無いと言っても過言ではないでしょう。会計的な正しさからは外れますからね。ただ、銀行に見せるわけでもなく、自分で月の経営状況を見るわけでもないというのであれば、税金さえ正しく計算できればいいのですから簡単に処理するというのもアリだと思いますよ。

__________________________________________

本格的に決算や申告、節税対策を始めたい方

申告や決算、節税対策専門の税理士は「税理士ドットコム」で相談できます(無料)

__________________________________________